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トリグラウ山とは
トリグラウ山またはトリグラフ山(Triglav、伊: Monte Tricorno)は スロベニア/スロヴェニアのジュリア・アルプス山脈に位置するスロベニアの最高峰の山である(標高は2864m) スロベニアの国家のシンボルであり, スロベニア唯一の国立公園であるトリグラウ国立公園の中心に位置している. 1991年のスロベニアの独立以前は 旧ユーゴスラビアにおいても最高峰の山であった 出典:wikipedia
トリグラウ山トレッキングに向けて
今回, トレッキングに挑戦するのはスロベニアのトリグラフ国立公園(Triglav National Park), トリグラフ山(標高2864m)に登るのに最適な時期は乾季は6月〜10月(理想は6月下旬から7月初旬)とされていて, 私がスロベニアに訪れた時期は9月末で季節外れに近づいていて 国立公園がある[ブレッド(Bred)]では既に一桁の気温に達していた。リュブリャナ市内にあるインフォメーションセンターで[トレッキングルート][オープンしている山小屋]などアドバイスをもらい, ガイド無しで単独でも登頂を目指すことは可能だということで, 3日間でトリグラフ国立公園内を一周するトレッキングルートを考察し, 無理をしない範囲でトリグラウ山への登頂を挑戦することを決意する!
トリグラウ国立公園内の見所の一つに七つの湖(Seven Lakes)があり, 湖を観ながら探検 & トレッキングするのも一つの楽しみとなります。標高が高くなる度に, 緑の量が減り, 石灰岩で覆われた地形に変化していきます!!!
<<7つの湖は以下>>
・Crno Jezero(Black Lake : 黒い湖)
・Dvojno Jezero(Double Lake : 2つの湖) (標高1685m) <インスタ映え>
・Veliko Jezero(Great Lake: 315湖) <インスタ映え>
・Zeleno Jezero(Green Lake: 緑の湖)
・Rjavo Jezero(Brown Lake : 茶色い湖)
・Jezero pod visacem(ビサックの下の湖)
<<勧められた山小屋>>
・Koca pri Triglavskih jezerih(標高1685m)
・Koča na Doliču(標高2151m) 登頂アタックをする際に泊まる人気の山小屋
・Dom Planika pod(標高2401m) 上記同様, 登頂アタックの際に利用される山小屋
★緑色ピン: ボーヒン湖(Lake Bohinj)西側, バス停があり登山口付近にもなる [地図下]
★地図を北にして時計回り, 弧を描く様に登っていく [オレンジピンに湖など見所あり]
★Triglav山頂上(標高2864m) 山脈が連なり▲の印があるのは山脈の頂上[地図上]
★茶色ピン:9月末時期で空いているロッジ (10月までは開いているロッジが多い)
トレッキング初日[7つの湖を巡る冒険]
トリグラウ国立公園の登山口は ブレッドから南西に行ったボーヒン湖(Lake Bohinj)(西側)の近くにあります. 首都リュブリャナからのバスが到着と同様のブレッドのバスターミナルから40分ほどで到着します。チケットはバスの運転手から直接買えますが 市内のバスターミナルで事前に購入しておくのが確実です(片道3.6ユーロ 2018年9月現在)
バス停から降りて登山口までのんびり散歩になります. ボーヒン湖はトリグラフ山の麓にある大きな湖でいくつか見所がありますが, サヴィツァの滝から流れてくる川の河口はイチオシ観光スポット!!! サヴィツァの滝も観光スポットの一つになります。トレッキングの際, 立ち寄ることもできましたが今回はパスしました
[11:20] 水のせせらぎを聞きながらトレッキングスタート! 森林浴を楽しみながらのんびりトレッキング と思いきや…
トレッキング開始直後からかなりの急勾配;; 目標としている第一の休憩ポイントCrno Jezero(Black Lake:黒い湖) まで永遠と勾配が続くので, 最初は焦らずペースを落とした方がいいです
Crno Jezero(Black Lake:黒い湖) まで1時間45分。道標は全てスロベニア語で表記されています ですので, 目印となる湖やロッジの名前はスロヴェニア語でも調べておくことをお勧めします
[13:55] 休憩なしで登り続け, 登山口から1時間20分程で湖まで辿り着く。Crno Jezero(黒い湖)という名のの湖, 崖で影ができることで黒く見えることからそう呼ぶのかな!?
遅めのランチをいただく。早朝に自炊して持ってきたパスタと, 旧ユーゴスラビアで有名な大本命のハンバーグ チェバピ(Cevapi)!!! おいしいものを食べて, エネルギー補給と食べる楽しみを味わう
Crno Jezero(黒い湖)を過ぎると緩やかな登りになります
[15:40] 第二のチェックポイントであるDvojno Jezero(2つの湖)に辿り着く。<インスタ映え>する神秘的な湖です
天気がよくこの湖でのんびりと休憩。実際にトリグラウの山頂はこの時点では見えてませんが, あの頂点を目指すんだ! と言わんばかりのポーズ
[16:00] Dvojno Jezero(2つの湖)に隣接している山小屋 Koca pri Triglavskih jezerih(標高1685m)に辿り着く。体力的に余裕がありまだ時間も早く泊まる気はありませんでしたが,,, 何と!!! 山小屋は閉まっていました。 従業員がいて話を聞いてみたところ, 営業は昨日(9/29)までとのこと。本日9/30, 9月末までの山小屋が多いと聞いていたが早めに閉めるところもあるのだという
次の目的地(湖)まで足を運ぼうと進み始めた時, Winter Room(遭難小屋)を見つける。このWinter Roomとは、 日本でいう遭難小屋のことで, 冬の期間、宿が閉まっているときのために無料開放している無人小山のことだ
本日からオープンしたばかりなのでブランケット等綺麗に並んでいる。まだ歩き足りない気もするが、折角のいい機会だから泊まることに決める(無料という言葉にどうも弱い)
水も確保でき!!!
食事を取ることにしました。質素な食べ物ですが, フランスパンにソーセージとチーズを挟み即席でいただきます。食事を取ると特にやることもなく[19:00]には布団に着くことにしました。この時期の登山客たったの3組、ブランケットを3枚使わせてもらいました。夜もそうですが朝方は相当冷え込みます。活動しなくなり体温が下がるので、寝る前にしっかり寒さ対策をしたほうがいいです。
トレッキング2日目[トリグラウ山 登頂へ]
トレッキング2日目, トリグラウ山を登頂してできる限り下りたいと考えていた。山小屋 Koca pri Triglavskih jezerih(標高1685m)から登ると考えると結構ハードになる. 見所は Veliko Jezero(Great Lake)とバラエティーに富んだ石灰岩のコースになります。6:00に起き, 6:30には準備をして出発をする
2日目も天気は好調で, 舗装された山道をひたすら進んでいく
[8:40] チェックポイントである七つの湖のひとつ, Veliko Jezero(Great Lake)に辿り着く。水の青が綺麗に見え, 風景が反射した水面が綺麗な鏡張りになっています
石灰岩で囲まれてほぼ無風になり, 湖の色は光の差し込み具合で様々な表情に変化します
このトレッキング中に役立ったチョコレート,24本入り(300g)で3.4Eur(約430円) チョコレートは食べ過ぎると喉が乾いてくるが,持ち運びにも便利で手軽にカロリー摂取ができるのが利点だ。チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれており, 気持ちを落ち着かせるリラックス効果もあるという。このトレッキングではBCAAと共に肉体的, 精神的な疲労も回復をする上で旅のお供になりました[3日で300g完食!!!]
Veliko Jezero(Great Lake)を過ぎると一気に世界が変わってくる
どこを見ても石灰岩 道が開けてくるのでトレッキングルートを頻繁に確認する必要があります。ペンキで書かれた丸印を見失わないように進む(※このトレッキング中, 進んではいけない×印は見かけませんでした)
たまに見かける石を積んだケルンも見かけます。ガスで道がわかりにくくても, これに沿って歩けばルートを見失わずに済みますが, 周りの石灰岩と色が同じなので注意が必要です
そして この蒼い空と広がる石灰岩のコントラスト, ここ言葉を失うほどの絶景が広がる。ヨーロッパアルプスと考えると, フランス・スイスなど中央ヨーロッパを思い浮かべる人も多いですが、東アルプスにあるジュリアアルプス山脈はどこを切り取っても絶景です!
Zeleno Jezero(Green Lake: 緑の湖) 標高2000m を通り
[13:10] 山小屋のKoča na Doliču(標高2151m)が見えてくる
時期外れか Koča na Doličuは営業していましたが, 誰1人泊まっている様子はありませんでした
時刻は[13:30]を回り, 登頂までの時間が少なくなってきたが, 天気もさほど悪くなかったのでこのまま登頂を目指すことにする!!! 通常はピストン(山頂まで同じルートを使って往復)するので, 不要な荷物を小屋に預けて頂上アタックするが, 周回で下山をしようと考えていたため, 全ての荷物を持ったまま頂上へ向かいました
そして顔を出すトリグラウ頂上! ここから標高650m登ることとなりトレッキングの本番はこれからとなる。
いつの間にか吹雪いてきて視界も悪くなってくる
近づけば近づくほど険しさが増してくる
トリグラウに登る最後の300m,,, 岩場や鎖場が度々登場してクライミング要素も必要になってくる。誰1人として登山客と会うこともなく 孤独な戦いが続いた。
慎重に一歩一歩進んでいく。もう少し, あと少しでトリグラウ山頂が見えてくるはずだ!
この山を目指す前, 会うスロベニア人みんなが口を揃えて言っていた[どうやってトリグラウのことを知ったんだ?]と。[ほとんどが欧米人で、日本人で山頂まで登りに来るのを見たの初めてだよ!]など
この山がスロベニア人の聖地だとしたら, 自分も味わってみたかった その聖地を! 霧で辺りは見えないが もうゴールは目と鼻の先まで近づいていた。そして…
辿り着く,,, ここがスロベニア最高峰 トリグラフ山(標高2864m)の頂だ!!! 頂上付近は霧がかり天候は悪くなるばかりでしたが, それでも無事に2日目にトリグラウ頂上まで辿り着きました!
生憎の天気で頂上からの景色は何も見えない,,, し・か・も,,, バックパックのショルダーハーネス(背負うための肩ベルト)につけていたGoProの装着が甘く, 誤って振り上げた手が当たって奈落の底に落としてしまいました… あぁ、、、落ちてったな、、、と絶望感に浸る。。。
トレッキング3日目 [下山日]
大切なカメラ(GoPro)とデータを紛失した悔みもありながら,,, 山小屋 Dom Planika pod(標高2401m) まで下り宿泊[オフシーズン10Eur] することにしました。登頂付近から降り始めた雪は夜から吹雪始め, 翌日の下山時は辺り一面雪景色!!! 登山3日目は最悪の雪山下山となる…
場所によっては股上まで雪が積もり鎖が埋もれてる箇所も。。。あの鎖さえ掴めれば足場が埋もれても踏ん張れる。壁に大の字になるようにしがみつく。手をどんなに伸ばそうとも雪が深すぎて何も掴めない。脚で雪を固め、一歩一歩脚をずらし慎重に進んでいく
どうにか渡りきる. 崖に落ちないようにしがみついて辿った跡,,, こんな場面が何カ所もありました;;
新雪を踏みしめて一歩一歩確実に動く。アイゼンは全く役に立たず… ゲイター(スパッツ)を持ってきていなかったので,雪が登山靴の中にガツガツと侵入してきます…
雪山装備が必要になるとは思ってもみなかった. 足の冷えなど気にしている余裕もなく, 日が出てしまって雪が凍り始めたら更に悲惨な状況になると予想し,ひたすら下山をすることに集中する
周りの景色は, 雪が降ったことにより登頂時よりも幻想的です
何度もルートを間違えながらも, この雪上トラバース(横断)を終えて下山すると, 雪があったのが嘘のように緑が広がっていました
トレッキングを終えて [まとめ]
この時期にトリグラウを登頂を目指すのであれば, スパッツ, アイゼン等の雪山装備や寒さ対策が必須になります。テント泊山行の経験を積もうとテントを持参しましたが, 結局テントは使用しませんでした(荷物になっただけ;) トリグラフ国立公園内で宿泊をする場合, 山小屋を利用するのが一般的です(食事の提供もあります)
無事に下山をしてきましたが, GoProを落としたことをずっと引きずっていました… しかし, もしかしたら足を踏み外して自分が奈落の底に落ちていたかもしれない。それぐらいタフな山でした。登山の難易度は決して標高差だけで決まるものではありません! 身をもって感じた日でもあります。また来ることだってできる。お金にもデータにも変えられない命がここにあるのだから。楽しかったトリグラウ山への登頂!!! 単独で挑戦して無事に辿り着き, 達成感は相当なものがありました